気候変動は食卓にどう影響する?食品ロスと賢い買い物でできること
「最近、野菜の値段が高いな」「この夏は、なかなか魚が獲れないって聞くけれど…」。 テレビのニュースで異常気象を見るたびに、気候変動が私たちの暮らしにどう影響するのか、漠然とした不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、日々の食卓、つまり私たちの「食」への影響は、お子さんの将来を考えても気になるところかもしれません。
この記事では、気候変動が私たちの食生活にどのような影響を与えているのかを分かりやすく解説し、家庭で今すぐできる具体的な対策についてご紹介します。
気候変動が私たちの食卓に与える影響
気候変動と聞くと、遠い国の話のように感じるかもしれませんが、実は私たちの毎日の食卓にも大きな影響を与え始めています。
1. 異常気象による農作物や水産物への影響
地球温暖化によって、世界各地でこれまで経験したことのないような異常な気象が頻繁に起こっています。
- 猛暑や干ばつ: 農作物が育つのに必要な水が不足したり、暑さで枯れてしまったりすることがあります。例えば、米の品質が低下したり、暑さに弱い野菜の収穫量が減ったりする原因になります。
- 集中豪雨や洪水: 大量の雨が短時間に降ることで、畑が泥水に浸かったり、土砂崩れが起きたりして、収穫前の農作物がダメになってしまうことがあります。
- 海水温の上昇: 海の温度が上がると、魚や海藻が住む場所が変わったり、数が減ったりすることがあります。漁獲量が減り、私たちが普段食べている魚が手に入りにくくなったり、値段が上がったりする原因になります。
このような異常気象が続くと、特定の農作物や水産物の収穫量が不安定になり、スーパーマーケットの店頭から姿を消したり、値段が大幅に上がったりすることがあります。これは、遠い場所で起きていることではなく、実際に私たちの毎日の食卓に影響が出ていることなのです。
2. 食料価格の変動
異常気象によって、特定の食料の供給が不安定になると、その食料の価格が大きく変動することがあります。例えば、レタスが育たない夏には価格が高騰したり、秋刀魚が獲れない年には手が出しにくいほどの値段になったりするのを見たことがあるかもしれません。
このような価格変動は、家計に直接影響を与えるだけでなく、安定した食料供給への不安にもつながります。
私たちの暮らしの中でできること:食品ロスを減らす
気候変動の影響を和らげるために、私たちは日常生活の中で何ができるでしょうか。まずは、身近な「食」から、食品ロスを減らす取り組みを考えてみましょう。
食品ロスとは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のことです。世界中で大量の食品ロスが発生しており、日本では年間約523万トンもの食品ロスが出ているとされています(農林水産省、令和3年度推計)。これは、日本人一人あたり毎日お茶碗一杯分のご飯を捨てている計算になります。
食品ロスを減らすことが、なぜ気候変動対策につながるのでしょうか。 食品を作るためには、水や肥料、エネルギーなど、さまざまな資源が使われます。そして、工場での加工、お店までの輸送、家庭での調理、そして捨てられた食品を焼却する過程で、多くの二酸化炭素(温室効果ガス)が排出されます。食品ロスを減らすことは、これらの無駄をなくし、二酸化炭素の排出量を削減することにつながるのです。
家庭でできる食品ロス削減の具体的なアイデア
- 買い物の工夫:
- 「冷蔵庫にあるもの」をチェックしてから買い物へ: 必要なものだけを買う習慣をつけましょう。
- 「買うものリスト」を作成: 無駄なものを買わないために、リストを活用するのも良い方法です。
- 食べきれる量を意識する: 大量に買いすぎると、使い切れずに捨ててしまうことになりがちです。
- 保存の工夫:
- 適切な保存方法を知る: 野菜や果物、肉や魚にはそれぞれ適した保存方法があります。例えば、野菜は湿らせた新聞紙に包んで冷蔵庫に入れる、肉は小分けにして冷凍するなど、鮮度を保つ工夫をしましょう。
- 冷凍庫を上手に活用する: 使いきれない食材は、新鮮なうちに冷凍保存しておくことで、長持ちさせることができます。
- 調理の工夫:
- 食材を余すところなく使う: 野菜の皮や茎など、普段捨ててしまいがちな部分も、工夫次第でおいしく食べられます。例えば、大根の葉はふりかけに、ブロッコリーの芯はきんぴらにするなどのアイデアがあります。
- 「使い切り」を意識した献立作り: 買ってきた食材は、なるべく早く使い切るように献立を考えましょう。
- 残り物を上手に活用する: 余ってしまったおかずは、リメイクして別の料理に変身させるのも良い方法です。カレーの残りをドリアに、煮物の残りを卵でとじるなど、アイデア次第で新たな一品になります。
私たちの暮らしの中でできること:賢い選択をする
食品ロス削減の他にも、食を通してできる気候変動対策はたくさんあります。
- 「旬」の食材を選ぶ:
- 旬の食材は、ハウス栽培などに比べてエネルギー消費が少なく、その土地の自然の恵みを最大限に活用して育ちます。
- 栄養価も高く、何よりもおいしいというメリットもあります。地元のスーパーや直売所で、その季節ならではの食材を探してみましょう。
- 環境に配慮した製品を選ぶ:
- 商品のパッケージに「エコマーク」や「レインフォレスト・アライアンス認証」など、環境に配慮して作られたことを示すマークがある場合があります。こうしたマークを参考に、環境に優しい商品を選ぶのも一つの方法です。
- 食生活のバランスを考える:
- 特定の食品に偏らず、バランスの取れた食生活を送ることも大切です。多様な食材を取り入れることで、食料供給のリスクを分散し、食料システム全体の持続可能性を高めることにつながります。
まとめ:小さな一歩が未来へつながる
気候変動は、私たちの生活、特に食卓にじわじわと影響を与え始めています。しかし、その影響に対して、私たち一人ひとりができることはたくさんあります。
食品ロスを減らすこと、賢い買い物や選択をすること。これらは、日々の暮らしの中で少し意識を変えるだけで実践できることです。一つ一つの行動は小さく見えるかもしれませんが、それが積み重なることで、地球全体の未来、そして私たちの子どもたちの未来をより良いものに変える大きな力になります。
今日からできることを一つ見つけて、食卓から気候変動対策を始めてみませんか。